死んだ王の無神話

あの時代には、王様は毎日謁見室に座って農奴達の望みと文句を聞いたものであった。ところが、ある日王様が現らなかっ た。かえって副官がきて、不安で「王様は亡くなったふりをしていて、お聞きになれない」と説明した。副官によって、寝 室のドアをノックしたと王様は「死んでしまった」と言った。「葬列を組織し、遺体を墓地まで運びなさい」と話し続けた。 そう聞くと宮廷の方々はどうしたらいいか分からなくて、問いだらけであった。王様はどんな葬列が欲しがっていますか? どんな墓ですか?相続人はどう選びますか?王様の答えは単純であった。死んでしまったので答えるつもりはない。

当時私はただ下女の幼い子供であった。死があんまり分からなくても、きっと死人なら話せないと思った。では、王様の寝 室へ行って問うた。話しているなら、どうして死んだと言っていますか?王様の答えは単純であった。欲しければ答えられ るけど、これくらいだ。死んでしまったんだよ。

あの不思議な発言から説明し続けた。人間は質問を聞かれたら、なぜ答える?理由は二つだけしかない。前者は答えたいか ら答える。後者は怖がっているから答える。しかし遺体にとって何も恐ろしくない。だから答えたくなければ答えないんだ。 今は死んだばかりで、まだ望んでいることがある。葬列とか。でもしばらくこれらも消えてしまう。死はそのものだ。

それを聞いてからお母さんに伝えた。しかし彼女は王の説を否定した。本物の死人はけっして話せないから、王様はただ亡 くなったふりをしている。それでお母さんは王の話を副官に知らせて、副官は宮廷の方々に知らせた。宮廷は乱雑していて 王様に命令されたがるままで、提案を作ろうとした。

副官は提案を農奴や召使いに発表した。「王様を答えさせるまで脅して怖がらせられる人は大賞をもらいますよ!」と言っ て挑戦を宣言した。そうして集まった人々は一人一人脅し方を試してみた。初めのはただの少年であった。「質問を答えな いと顔に泥を投げつけるよ!」と厚かましく脅した。だが王様は相変わらず死んでしまって、答えるつもりはないと言った。 約束通り、少年は泥を顔に擦った。顔を拭いたり泥を吐き出したりしたけど、何も言わなかった。そう見ると農奴達はやっ と珍しい機会に気が付いた。王様は普通厳しくたまに酷いので、今はお返しの機会なのであった。次々に体を蹴りつけたり 服を裂いたり盗んだりした。それでも王様は一言も応じなかった。

そしてある鍛冶屋が寄った。たいていの農奴と違って、鍛冶屋がずっと王様に忠実であって、あんな風に侮られるのを見 るのはたまらなくなった。だから本気で脅しはじめた。「質問を答えないと両腕をこのハンマーでお折りいたしますよ」と 警告した。王様は何も応じないので、厳しい顔をしていてハンマーを上げた。左腕が壊されると王様は大声を上げて、狂っ たように鍛冶屋を罵った。彼は少し安心してきて、宮廷の質問の一つを伺ってみた。だが答えはこなかった。明らかに苦し んでいても、王様は恐れの形跡を見せなかった。鍛冶屋の顔が一段と硬くなってハンマーを上げ返した。今回王様は家族を 全員呪って叫んだり泣いたりした。でも後は沈黙。鍛冶屋は少し苛々していて両脚も潰した。そうすると市民の全員に 向かった呪いが宮中に響いた。

やがて王国の空は呪いでいっぱいであって神々も気が付いて、侮辱しはじめた。お前たちの王が死んだふりをしているか! 何も答えないか!この王国は馬鹿に支配されて、国民も全員馬鹿だぜ!と笑った。でも鍛冶屋は忠実のままで王様から目を 逸らさなかった。「答える必要がありますよ。そうしないと俺は溶銑を体に流していく」と言った。また答えがなかった。 溶銑が体に触ると寝室は濃い蒸気と恐ろしい音に満たされて、前より一層高い叫びが聞こえた。狂った目で王様は神々を次々 に呪いはじめて、彼らが次々に呪いの重さで枯れて霊界から消された。前の笑いはもはや聞こえなくなった。

「これは終わりだ。答えないなら、ハンマーで頭を押しつぶして殺すぞ」と鍛冶屋が言った。涙や煙にまみれた顔から返事 がきた。もう死んでいるよ。答えたくなければ誰も答えさせられない。泣き顔で鍛冶屋は頭骨を砕いて、とどめを刺した。 ハンマーに触れた一瞬に王様は全ての超神を一斉に呪い叫んだ。では王は殺された。沈黙が戻った。そして超神は砂になっ て忘れられてしまって、それと同時に呪いが有効を永遠に失った。それで現代が始まった。

遂に王様は実に死んだが、宮廷の方々はまだどうすればいいのか分からないままであった。だから体は寝室に残されて、相 続規則のないために新たな王は二度と選ばれなかった。当夜私は寝室へ戻って遺体に質問をした。「死んだふりをしたのは、 こうするためだったのか?」とそっと聞いた。でも王様はいやと言った。死んでしまったのだから。だって答える気がもう ない。

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