株式「累投」スタートから1年 女性・若年層も多く 手軽さ受け92万口座に

 

月々一万円から株式投資ができる「株式累積投資制度(累投)」が昨年二月十日にスタートして満一年たった。「個人投資家層の拡大で株式市場の活性化を」と始まったこの制度、口座数も業界全体で約九十二万口まで増えている。通常の株式投資と異なり、女性や若年層の投資家が多いことが特長で、手軽さが買われている。証券業界では、「最初の一年としては上々」(大手証券)と自賛しているが、「目新しさ」が一巡した二年目は頭打ちになるのではないかとの懸念も出ており、評価はこれからだ。

特に証券業界が注目しているのは、九十二万という口座数の多さ。というのも、証券会社が昭和四十七年から取り扱っている財形貯蓄が、業界全体でようやく七十三万五千件に達したに過ぎず、それに比べると「累投の優秀さが際立つ」というわけだ。

投資家の性別、年齢別構成を見ると、圧倒的に男性が多い通常の株式投資に対し、累投は男女比はほぼ半々。また、二十代以下の若年層が二割を占めており、これらの点からも「個人投資家層のすそ野を広げているのは明らか」(同)という。

累投には制度上の追い風も吹いている。従業員持ち株制度で取得した株式を、退職後も累投に振り替えて持ち続けることが今年から認められたためだ。従業員持ち株会の退会者は年に約二十万人といわれ、証券業界には「そのうち何割かでも、累投で投資を続けてくれれば……」との期待が高まっている。

また、最近の市場のように外国人投資家の買いや政治情勢の急変から株価が乱高下する局面では個人投資家は株式には投資しにくいが、毎月決まった日に決まった額を買いつける累投なら、コストの平均化とリスクの分散が図れる利点がある。

累投は、最低売買単位(通常千株)以上でないと購入できなかった株式が、小口(最低一万円)でも買い付けられる制度。申込者の平均投資額は月一万三千円程度で、対象としては、安定感があり高配当の電力株と、値上がり益が見込める高成長企業の株が人気を二分している。